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Novel

  • 2023年1月13日

さかしまのジゼル
<第15回>
第3部 I 仕組まれた契約──1840年

さかしまのジゼル <第15回> 第3部 I 仕組まれた契約──1840年 かげはら史帆    華奢な膝を折って床に泣き崩れるグリジを、ジュールはただただ呆然と見つめていた。  いったい何が起きたのか、すぐには呑み込めない。橙色に灯るテーブル […]

  • 2022年12月9日

さかしまのジゼル
<第14回>
第2部 VIII 最高のプレゼント

さかしまのジゼル <第14回> 第2部 VIII 最高のプレゼント かげはら史帆   「もし、あのまま悲劇で終わっていたら──」  芸術監督とメートル・ド・バレエの感嘆の声が、ジュールの耳を快く打った。 「ここまでのヒットはなかったでしょう […]

  • 2022年11月4日

さかしまのジゼル
<第12回>
第2部 VI 交渉決裂

さかしまのジゼル <第12回> 第2部 VI 交渉決裂 かげはら史帆   「よく隠し通せましたね。記者どもはマドモアゼル・グリジの秘密に最後まで気づかなかった」  感嘆と呆れの入り混じったメートル・ド・バレエの声に、旅装のジュールは勝利の笑 […]

  • 2022年10月21日

さかしまのジゼル
<第11回>
第2部 V 男のシルフィード

さかしまのジゼル <第11回> 第2部 V 男のシルフィード かげはら史帆   「俺が、振付を……?」  ジュールの口から、情けないほどにかすれた声が出る。目の前では、ウィーン・ケルントナートーア劇場の芸術監督カルロ・バロッキーノが、丸く赤 […]

  • 2022年10月7日

さかしまのジゼル
<第10回>
第2部 IV “踊るグリジ”

さかしまのジゼル <第10回> 第2部 IV “踊るグリジ” かげはら史帆    泣くだろうな──。  そう思ったら、やっぱり泣いていた。    小さな頭に不釣り合いなほど大きな濃黄色のリボンが、力なく耳の下まで垂れ下がっている。 […]

  • 2022年9月23日

さかしまのジゼル
<第9回>
第2部 III 新しい契約

さかしまのジゼル <第9回> 第2部 III 新しい契約 かげはら史帆   「この子を、パリ・オペラ座に……」  穏やかな波音が寄せる長テーブルを前に、勝機をつかんだジュールは泰然とうなずいた。 「わが家は歌手一族ですの」「イタリア・オペラ […]

  • 2022年9月9日

さかしまのジゼル
<第8回>
第2部 II 救いのミューズ

さかしまのジゼル <第8回> 第2部 II 救いのミューズ かげはら史帆   「フランチェスカ、グラン・バットマンで身体を傾けすぎないで。アデライーデ、下ろした脚をきちんとポジションに収めて。ベルタ、肘がだんだん落ちてきてる。そう、それでい […]

  • 2022年8月26日

さかしまのジゼル
<第7回>
第2部 I 転落と流浪──1835年

さかしまのジゼル <第7回> 第2部 I 転落と流浪──1835年 かげはら史帆    冷たく湿った土の感触を片頬に感じながら、ジュールはやっとの思いで目を開けた。  幌つき四輪馬車カレーシュもろとも、崖の下まで転げ落ちてしまったかと思った […]

  • 2022年8月12日

さかしまのジゼル
<第6回>
第1部 V 俺はライバルになれない

さかしまのジゼル <第6回> 第1部 V 俺はライバルになれない かげはら史帆    客席のどよめきが、ジュールの全身を快感に包んだ。  批評家たちが腕組みをする平土間席から、成金紳士たちが禿頭をずらりと並べるボックス席から、貧乏学生や芸術 […]

  • 2022年7月22日

さかしまのジゼル
<第5回>
第1部 IV オペラ座の女王

さかしまのジゼル <第5回> 第1部 IV オペラ座の女王 かげはら史帆    あのひとの足音だけは、すぐにわかる。  コツ、コツ、コツ。馬の蹄がステップを踏む、軽やかな音だ。  女性ダンサーたちは、みんな彼女のスキルを盗もうと必死だ。彼女 […]

  • 2022年7月8日

さかしまのジゼル
<第4回>
第1部 III リヨンの家出少年

さかしまのジゼル <第4回> 第1部 III リヨンの家出少年 かげはら史帆    フランス南西部の街・ボルドーから、若い男性ダンサーが移籍してくる。  そんな噂を耳にしたのは、ジュールが10歳の頃だった。  そのダンサー──シャルル・マズ […]